7.1.2.1 解析力学
古典力学の運動方程式を得る方法にはニュートン,ラグランジュ,ハミルトンによる3つの方法があった.ラグランジュの方法で場の方程式を得ることができ,ここで大きな役割を果たすのはラグランジアンという関数である. 1次元の1粒子系で運動エネルギー $T$ とポテンシャル $V$
に対してラグランジアンは $L(x,\dot{x})=T-V$
で定義される.オイラー・ラグランジュ方程式
$\pdv{L}{x}-\pdv{t}\pdv{L}{\dot{x}}=0$ から運動方程式が得られる. $S=\int\dd{t}L(x,\dot{x})$ をアクション(作用)といい,関数 $x(t)$
を引数とする汎関数とみる.無数の経路 $x(t)$ のうち $S$
を最小にする経路を物体が取ることを最小作用の原理(変分原理)といい,解析力学の基本原理とする.最小を求めるには微分して0となる点を求めるように,(第一)変分が0となる停留値を求める.変分は,経路のスタートとゴールは固定
$\delta{x}(t _ {1})=\delta{x}(t _ {2})=0$ して,経路を微小に変化
$x(t)\to x(t)+\delta{x}(t)$ させること.また,
$\dot{x}(t)\to\dot{x}(t)+\dot{\delta{x}}(t)$,$\abs{\delta{x}}\ll1$,$\abs{\dot{\delta{x}}}\ll1$
である. $T=\frac{m}{2}\dot{x}^{2}$,$V=V(x)$ のとき $$\begin{aligned}
S+\delta{S} & =\int _ {t _ {1}}^{t _
{2}}\dd{t}\qty{\frac{m}{2}\qty(\dot{x}+\dot{\delta{x}})^{2}-V\qty(x+\delta{x})}
\\ & \simeq\int _ {t _ {1}}^{t _
{2}}\dd{t}\qty{\frac{m}{2}\qty(\dot{x}^{2}+2\dot{x}\dot{\delta{x}})-\qty(V(x)+\delta{x}\pdv{V}{x})}
\\ & =S+\qty[m\dot{x}\delta{x}] _ {t _ {1}}^{t _ {2}}-\int _ {t _
{1}}^{t _ {2}}\dd{t}\delta{x}\qty(m\ddot{x}+\pdv{V}{x})
\end{aligned}$$ 2行目から3行目では部分積分で変形した.3行目第2項は
$\delta{x}(t _ {1})=\delta{x}(t _ {2})=0$ により消えるから,任意の微小変分
$\delta{x}(t)$ に対し第1変分 $\delta{S}$ が0となる $x(t)$
のときニュートンの運動方程式 $m\ddot{x}=-\pdv{V}{x}=F(x)$ が得られる. 多粒子系で任意の座標,任意の運動エネルギーとポテンシャルの表式に拡張すると,
$n$ 個の座標変数により $L=L\qty(\qty{q _ {i}},\qty{\dot{q} _ {i}},t)$
と表されるから $$\begin{aligned}
\delta{S} & =\int _ {t _ {1}}^{t _ {2}}\dd{t}\sum _
{i}\qty{\pdv{L}{q _ {i}}\delta{q _ {i}}+\pdv{L}{\dot{q} _
{i}}\delta{\dot{q}} _ {i}} \\ & =\qty[\sum _ {i}\pdv{L}{\dot{q} _
{i}}\delta{q} _ {i}] _ {t _ {1}}^{t _ {2}}+\int _ {t _ {1}}^{t _
{2}}\dd{t}\sum _ {i}\qty{\pdv{L}{q _ {i}}-\dv{t}\pdv{L}{\dot{q} _
{i}}}\delta{q} _ {i}
\end{aligned}$$ 部分積分で変形した.第1項は
$\delta{q} _ {i}(t _ {1})=\delta{q} _ {i}(t _ {2})=0$
により消えるため,任意の微小変分 $\delta{q} _ {i}(t)$ に対し第1変分
$\delta{S}$ が0となる $\qty{q _ {i}(t)}$
のとき,オイラー・ラグランジュ方程式
$\pdv{L}{q _ {i}}-\dv{t}\pdv{L}{\dot{q} _ {i}}=0$ が得られる. 座標変数 $q _ {i}$ に対する正準運動量を $p _ {i}=\pdv{L}{\dot{q} _ {i}}$
で定義する. $T=\frac{1}{2}mx^{2}$,$V=V(x)$ のときは
$p=\pdv{x}\qty(\frac{m}{2}\dot{x}^{2}-V(x) )=m\dot{x}$ である. ハミルトニアンを,ラグランジアンをルジャンドル変換したもの
$H\qty(\qty{q _ {i}},\qty{p _ {i}},t)=\sum _ {i}q _ {i}p _
{i}-L\qty(\qty{q _ {i}},\qty{p _ {i}},t)$
として定義する. $T$ が $\qty{q _ {i}}$ の2次同次式で $V$ が
$\qty{\dot{q} _ {i}}$
に依らないとき,ハミルトニアンは力学的エネルギーに一致する $H=T+V$ .
Simple Description
ラグランジアン
変分原理
ニュートンの運動方程式
オイラー・ラグランジュ方程式
ハミルトニアン
Basic Problems
ばねの運動
解答例
$V=-\int _ {0}^{x}\dd{x'}F(x')=\frac{k}{2}x^{2}$ , $T=\frac{m}{2}\dot{x}^{2}$ より $$L=\frac{m}{2}\dot{x}^{2}-\frac{k}{2}x^{2}\quad\therefore0=\pdv{L}{x}-\dv{t}\pdv{L}{\dot{x}}=-kx-m\ddot{x}$$ $x$ に対する正準運動量は $p=\pdv{L}{\dot{x}}=m\dot{x}$ だから $H=p\dot{x}-L=\frac{p^{2}}{2m}+\frac{k}{2}x^{2}$ .
Standard Problems
調和振動子と電場
解答例
$$0=\pdv{L}{x}-\dv{t}\pdv{L}{\dot{x}}=-kx+Eq-m\ddot{x}\quad\therefore m\ddot{x}=-kx+Eq$$

