7.1.4.1 パリティと荷電共役
粒子の反応において保存する量を量子数といい,加法的なものと乗法的なものがある.加法的量子数は複合系の量子数を各系の量子数の和とするもの,乗法的量子数は複合系の量子数を各系の量子数の積とするものである.バリオン数などの量子数は加法的,パリティなどは乗法的である. シュレディンガー方程式
$\frac{\hbar^{2}}{2m}\dv[2]{x}\psi(x)+V(x)\psi(x)=E\psi(x)$ の解
$\psi(x)$ に対し, $V(x)=V(-x)$ のとき $\psi(-x)$ も固有値 $E$
の解である.これらは独立な解ではないので $\psi(x)=\alpha\psi(-x)$
である. $\psi(x)=\alpha\psi(-x)=\alpha^{2}\psi(x)$ より,パリティ演算子
$P\ket{\psi}=\alpha\ket{\psi}$ の固有値 $\alpha=\pm1$
をパリティという.パリティは乗法的量子数である.角運動量状態
$\ket{\psi}=\ket{L,m _ {z}}$ のパリティは $(-1)^{L}$ である. $V(x)=V(-x)$
を一般化して $\comm{P}{H}=0$ のとき, $H$
の固有状態はパリティの固有状態であり混合状態や不定状態ではない. スピン $J$ とパリティ $P$ を同時に $J^{P}$
のように表示する.素粒子フェルミオンの粒子は $\qty(\frac{1}{2})^{+}$
,反粒子は $\qty(\frac{1}{2})^{-}$
,ボソンの粒子と反粒子は同一のパリティを持ち,ヒッグス粒子は $0^{+}$
,光子は $1^{-}$ である. $0^{+}$ のボソンはスカラー粒子,メソンのように
$0^{-}$ のボソンは擬スカラー粒子,光子のように $1^{-}$
のボソンはベクトル粒子, $1^{+}$ のボソンは擬ベクトル粒子という. 強い力や電磁気力ではパリティは保存したが,弱い力では破られる.
$K^{+}\to\pi^{+}\pi^{0}$
の崩壊では,奇パリティから偶パリティになっている. 粒子を反粒子に置き換える荷電共役変換 $C$ を考えると
$C\ket{\psi}=\ket{\overline{\psi}}$ .パリティと同様
$C^{2}\ket{\psi}=\ket{\psi}$ より固有値は $\pm1$
で,これは乗法的量子数である.反粒子への置き換えにより電荷,レプトン数,バリオン数などの加法的量子数は逆符号になるため,これらが全て0なら
$C$ により状態が変わっておらず固有状態といえる. $\pi^{0}$
メソンはこれらが0だから固有状態で
$C\ket{\pi^{0}}=\alpha\ket{\pi^{0}}$,$\alpha=\pm1$ である. 状態にかかる演算子 $C$ を用いて,電流密度 $J$ の符号が逆転することは
$CJC^{-1}=-J$ のように表せる.ゆえに電磁ラグランジアンの相互作用項は
$CJ _ {\mu}A^{\mu}C^{-1}=-J _ {\mu}CA^{\mu}C^{-1}$
に変換し,電荷が逆になっても同じ力学が働くので $CA^{\mu}C^{-1}=-A^{\mu}$
である.すなわち光子 $A^{\mu}$ の固有値は負で,崩壊
$\pi^{0}\to\gamma\gamma$ の右辺の2光子状態は $(-1)^{2}$
の固有値である.したがって
$C\ket{\pi^{0}}=\alpha\ket{\pi^{0}}$,$\alpha=+1$ である. これも強い力や電磁気力ではC対称性は保存したが,弱い力では破られる.
Simple Description
量子数
パリティ
パリティ演算子
パリティによる分類
パリティの破れ
荷電共役
固有状態
光子の荷電共役
C対称性の破れ
Basic Problems
スピン・パリティ
ニュートリノ,陽子,ヒッグス粒子,光子のスピン・パリティを求め,ボソンについてはスカラー粒子,擬スカラー粒子,ベクトル粒子,擬ベクトル粒子のいずれであるか答えよ.また,角運動量状態 $\ket{L,m _ {z}}$ のパリティを求めよ.
解答例
ニュートリノ: $\qty(\frac{1}{2})^{+}$,陽子: $\qty(\frac{1}{2})^{+}$,ヒッグス粒子 $0^{+}$ (スカラー粒子),光子 $1^{-}$ (ベクトル粒子), $\ket{L,m _ {z}}$: $(-1)^{L}$ .
Standard Problems
パリティと荷電共役
解答例
弱い相互作用. $(-1)^{n}$ .

